英国退屈日記『感性』

滑走路の赤色の灯が、右翼に吸い込まれては、また反対側から現れる。単調なリズムを急かす様に、前の座席の子供が泣き声を強める。赤い点で在ったものが線に代わり、遂には窓枠から消える。鮮やかだった光が消滅して見えなくなる。フィレンツェで4日間ほど…

大きなカマキリ

公園の近くに住んでいる公園じいちゃんは、 元々、祖父の仕事仲間で、血縁関係はない。 それでも小さい頃、よく遊びに行っていた。 まだ幼稚園くらいの僕相手に、 相撲をしてくれた。 僕は公園じいちゃん相手に相撲で負けたことがない。 いつもいつも頃合い…

1北野

元より飽きやすい性分である僕は、 趣味が多い。 全てが素人の域は越えず、 もしかすると趣味とは 呼べないのかもしれない。 しかしながら、高校1年の時に、 祖父に買ってもらった ミラーレス一眼から始まったカメラ、 ぼくの心臓同様(不整脈持ちなのである)…

ビタミンD欠乏症イギリス人

気候が国民性を形成する上で、重要な要素の1つであることは間違いないようだ。同じ英語(イギリス人言わせれば全くの別物だそうだが)を話すアメリカ人と比べると、イギリス人の目には輝きが乏しいのが、一目瞭然である。(目だけに。)アメリカは西海岸の、オ…

歌謡曲と白ワイン

"今週のベストテン第1位は、中森明菜で『DESIRE』"布施明の『君は薔薇より美しい』に並んで、ベストテンの中で1番好きな回である。しばしば、明菜か百恵かで意見が分かれる。確かに山口百恵の引退ライブで歌うさよならの向う側は涙を誘うものがあるが、昭和…

英国退屈日記『桜』

記憶があまりない。3月から今日までの記憶があまりない。朝に食べるクロワッサンと、昼のチキンカツ丼、入浴とは呼べない烏の行水で、なんとか日々のテンポを保つ生活を送っていた。元来要領は良い方で、何かにあくせくする事は無いのだが、最近は処理しなけ…

ストックホルム退屈日記〜ルージュの伝言〜

ルージュで伝言なんぞ残された日には生きた心地がしないなと思う。ましてや彼女が自分の母親に会いに電車に乗って向かっているなんて貞子が10人束になってかかっても敵わないくらい恐ろしい。そんなルージュの伝言が主題歌である、"魔女の宅急便"のモデルに…

二十億光年の孤独

人類は小さな球の上で眠り起きそして働きときどき火星に仲間を欲しがったりする 火星人は小さな球の上で何をしてるか 僕は知らない(或いは ネリリし キルルし ハララしているか)しかしときどき地球に仲間を欲しがったりするそれはまったくたしかなことだ谷…

The long and country road

1年のうちで2回ある、最も多忙な時期を今過ごしている。僕にしては寝食を惜しんで仕事に勤しんでいる方だと思う。嘲笑われているのか、歓迎されているのかわからないが、ロンドンには、早すぎる春が訪れている。記録を始めてから、最も暑い2月になっているら…

お茶しようぜ

"お茶しようぜ" 2017年から2018年にかけて、 おそらく最も発した言葉だ。 僕には沢山のティーフレンドがいる。 酒の場よりも、より慎重に、丁寧に、緻密に きちんと発する言葉を選んで、 やり取りが出来る為、僕は人をよくお茶に誘う。 とりわけその中でも、…

パリ退屈日記

この日記はしっかり書きたいと思う。 当時大学四年生であった僕は、第一志望の最終面接を受けるべく、 前日の夜から大阪に向かっていた。 着いた途端に具合が悪くなった。 理由は明快で、大阪が合わないのだ。 もちろん面接への緊張があったことは認める。 …

アムステルダム退屈日記

ノラジョーンズやキャットパワーが似合う街だったように思う。 機内から望む夕日のせいか。 実質1日しか滞在しなかった アムステルダムであるが、 何故か哀愁を感じずにはいられなかった。 当時勤めていた花屋の店長の兄が アムステルダムに住んでいると 聞…

ベルリン退屈日記

只今、ベルリン上空、 アムステルダムに向かっているところだ。 両耳にはめたイヤホンからは 美空のひばりの姉さんの 『人生一路』が流れている。 一度決めたら、2度とは変えぬ、と来たもんだ。 3泊4日、実働2日のベルリンを 終えた感想としては、 『ベルリ…

ロンドニアム ダブルベッド

一体、一生のうちに何個のベットに寝るのだろう。思い返してみれば、中学に上がる際に祖父に買ってもらったシングルベッドに皮切りに、クッションがたくさん置いてあるベッドや、下に収納の付いているベッド、製造過程で不備があったとしか思えないような底…

英国退屈日記:新聞

"こと未だ成らず小心翼々こと将にならんとす大胆不敵"何かを始めるときは周到に調べ上げ、大成しても油断することなかれといった意味の西郷隆盛の言葉だ。見切発車を1番の得意技としている僕としては耳の痛い言葉である。会津藩擁する福島県民としては、左翼…

英国退屈日記:流し

露店で拵えた様なキャスケットに、 視力を矯正する為だけに掛けている眼鏡。 昼間からはしご酒。 吉田類の酒場放浪記だ。 お馴染みのあの曲は The KlezmorimのEgyptian Fantasy 邦名は"エジプトの幻想"という。 妙な組み合わせであるが、これが何故かしっく…

レペゼンニッポンジン

こちらの隠語で"Black Sheep"というものがある。直訳では黒い羊だが、”厄介者・面汚し"という意味で用いられる。ご存知の通り羊の毛は白いのが一般的である。黒い羊毛は染めようがないし、使い道がない。高値で売れない。ただ餌を浪費するだけの存在なわけだ…

英国退屈日記:花其の二

"色は匂へど 散りぬるを"美しく香る花もいつかは散る、ご存知の通り、諸行無常を表すいろは歌の始めの句だ。僕は花は枯れた時が1番美しいと感じる。僕らが高校生の頃に流行ったスリーピースバンドも歌っていたように、無機質な造花は何も力を持たない。ただ…

英国退屈日記:花

打った覚えの無い右肘が妙に痛む。"貴方が噛んだ小指が痛い"のならば理解出来るが、これに関しては全く身に覚えが無い為、やや戸惑いながら、この日記を書いている。ここのところ、この日記以外にも、少しだけまとまった文を打つことが多く、なかなか日記を…

英国退屈日記:写真

"写真は過去しか撮れない、シャッターを押した瞬間にそれは過去になるからだ" 誰の言葉だったか忘れたし、 このような言い回しであったかすら いまいち自信がない。 数人だけれど、写真家の友人知人がいる。 この時代、誰でも簡単に写真が撮れ、 職業写真家…

英国退屈日記:正月

真っさらなものを何かで埋めなくては 気が済まない彼等によって吹き付けられた、 落書きと呼ぶには少々手が込み過ぎていて、 アートには程遠いそれらが壁の全てを占める、 工場地帯の隙間から 花火をみた。 これが僕の2019年の始まりであった。 そこから15分…

道のり 時間 距離

誰がなんと言おうと、2018年というこの年は四半世紀の僕の人生の中での分岐点であったし、凡庸な言い方ではあるが辛い1年であった。僕は器用貧乏であるが故に、挫折という物とは縁の無い人生であった。六割位の力で物事に当たればだいたいは上手くいく。しか…

英国退屈日記:万国共通

両耳に嵌めたイヤホンからはアンディウィリアムスのAlmost Thereが流れている。ボクシングデーのセール商戦を病み真っ只中の身体で戦い抜き、ボンドストリート駅の階段を下り、ディストリクトラインに向かっていた。小サビでアンディがいよいよパラダイスを…

アブラマシマシ

鼻水が止まらない。身体から全ての水分が無くなっても尚、この鼻水は止まらないのでは無いだろうか。ニュージーランドで発生するメタンガスの約半割りを羊のげっぷが占めるらしいが、人間から出る鼻水も負けず劣らずの勢いで石油の消費量を占めているのでは…

英国退屈日記:性格

只今こちらは夕方の6時半。クリスマスイブということもあり、街中は人ごみでごった返し、幼稚園児の団体行動の様な有様である。そんな中僕はというと、サウジアラビア人のマハメッドとアハメッドに連れられ遅めの昼食にイエメン料理を取った。アラブ料理と一…

英国退屈日記:クリスマス

小学4年生の頃であっただろうか。 その日父はオレンジのポロシャツを着ていた。 僕の父はオレンジ色に目がない。 その夜、庭に面したドアからサンタクロースが プレゼントを持ってやってきた。 目が痛くなる程赤い衣装にシミひとつ無い白い髭を蓄えたサンタ…

乾麺のススメ

友人とブログについて話している際に、 不意に「ペヤングの作り方書いてよ」と言われた。 うまく寝付けなかった夜だったので書いてみることにした。 その友人と合作で作っていたのだが、 説明書きに何故か突如、ワタナベ君とさよ子が現れる。 支離滅裂な内容…

英国退屈日記:ウィスキー

「ハッピー ラッキー ウィスキー」 大きく口をあけてもう一度。 「ハッピー ラッキー ウィスキー」 反吐が出るほど嫌いな百貨店の研修で 必ずやらされる笑顔の作り方である。 今日の題は笑顔でもなく、百貨店でもなく、ウィスキーについてだ。 何故か僕は蒸…

英国退屈日記:拘り

Tシャツはポロの白無地。 靴下はブルックスブラザースのこれまた白無地。 歯ブラシは、かなやブラシの馬毛。 整髪料は大島椿。 香水はLELABOのGAIAC。 トラウザーズはダブルの巾4.5センチ仕上げ。 他にももっとあるが、これらは僕の拘りだ。 書いていて嫌に…

人相、易断本

”こんな易なんてもので人の運勢なんてわかる訳が無い。” 寅さんの言葉だ。 大いに賛成である。 ただ最近思うのだが、人生には大きな流れというものがあって それには抗えないのである。 出来る事と言えば、来たる激流に耐え得るべく、苦し紛れの息継ぎくらい…