2022-01-01から1年間の記事一覧

英国退屈日記『何度目かのパリ』

信号を待っていると地下鉄の振動が足に伝わってくる。 僕の後ろをサンタクロースの帽子を被った子供たちが通る。 特大寒波に凍えるアジア人の僕は彼らにどう映っているのだろう。 正確には彼らには何も映っていないのだ。 今日で年内の学校を終えた彼らには…

アルコール度数6%のエッセイ5

僕は本を読む時に、そこに出てくる自分が知らない曲が好きだ。 今日はローズマリークルーニーという50年代のジャズ歌手とラフマニノフのピアノ協奏曲第2番と出会った。 これらを掛けながらその本を読むと少し深く入り込める気がする。 かなりの偏読の為、出…

英国退屈日記『サウナ』

僕はいつもJALで日本とイギリスを行き来するのだが、機内誌がひとつの楽しみである。 その中に浅田次郎が連載している"つばさよつばさ"というエッセイがあるのだが、 いつだったか日本へ向かっている機内で読んだそれがサウナについてだった。 彼は昔から無…

アルコール度数6%のエッセイ4

友人の家からの帰り道、飲んだワインのせいで少し浮腫んだ足を無理やりブーツに捩じ込む。BoAもバレンチノのタイトなジーンズを履く時こんな気持ちだったのだろうか?(ではない) イヤホンを耳に嵌め、マルボロメンソールライトに火をつける。シャッフルで流…

英国退屈日記『日曜日』

日曜の朝、正確には11時半。 平日に日本と深夜の3時から打ち合わせさせられる僕からすると週末のこの時間は朝なのである。 このままビールでもあおってまた寝てしまおうかと思う気持ちを振り払って着替える。 ほぼ習慣化されたフラワーマーケットに向かう。 …

アルコール度数6%のエッセイ3

メモ帳を開いてとりわけ書きたいことないくせになにかしら意味ありげなことを生み出そうとしている。 旅するバックパッカーもこんな気持ちなのかなって思ったりもする。 年に2回、日本に帰ってくるわけで、 それと同じ数だけイギリスに戻る時が来る。 いちい…

日本退屈日記

初台と西新宿五丁目の真ん中あたりに部屋を借りている。 1年の間で僕は4ヶ月くらい知らない枕で寝る。 そのうち大体は東京で、あとはパリとかミラノとかの枕が4個くらいついているベッドである。 初台のマンションには乾燥機が付いてなくて、歩いて7分くらい…

アルコール度数6%のエッセイ2

赤坂駅から歩いて3分くらい、 僕の家からだと歩いてオフライセンスにしか行けないくらいの距離にある赤坂カントリーハウスで、生ビールと少し焼いた温泉卵が乗ったカレーを頼む。 (いつだって物差しは自分自身なのだ) 30人も入れば満席になってしまうような…

アルコール度数6%のエッセイ

人が失敗するとき、はたまた黒歴史と呼ばれる事柄の脇にはある程度決まって酒がある。 クリスマスに馬鹿げたケバケバしい電飾が摂理とも呼べるくらい決まりきった形で対になっているのと等しいくらいに切っても切り離せない関係性である。 そんな少しふわつ…

固く握った手

僕はこの半年でたくさんの手を見た。 とりわけ固く握った手をよく見た。 ちょっとだけそれについて書いてみようと思う。 バラバラに書き留めていたので纏まりがないね。 今現在、ニューヨークの地下鉄で左手を固く握っていて、その手の内側には手提げ鞄の紐…

アゲ武装

ここのところWi-Fiの調子が悪く、近場のカフェで仕事をすることが多かった。 その日の気分で西側のところへ行くこともあれば、やや南に歩く先にも足を伸ばした。 決まって頼むのはレギュラーミルクのラテとジャリジャリ音がするシナモンバンである。 日本で…