伊丹十三。怒れる老人。
僕の好きなものに、怒れる老人というものがある。
何かを為し得た後も、怒りのエネルギーが枯れない彼らの情熱を’老害’と一蹴してしまう事は出来ないだろう。
アイリーングレイの邸宅に落書きをしたコルヴィジェは当時51歳であった。
取り分け、伊丹十三の怒りはニヒルでどこか肩透かしな日本人特有のそれであり、
そんな彼の心持ちに深く共感する。
彼の著書にヨーロッパ退屈日記というものがある。
ヨーロッパでの俳優業を通して出会う西洋人とのエピソードや、当時の生活が描かれている。
短いエッセイ調の語り口で、オチもあまり無く倩と綴るだけなのだが、とてもクセになる。
僕も現在ロンドンに住んでいる。
25歳男性。
職業は生地屋。
生地屋というとよく日暮里あたりのいわゆる生地問屋をイメージされ易いのだが、またちょっと違う。
これについてはまた書こうと思う。
趣味は花を買う事と、靴を磨く事。
酒は家で飲みたい。
かなり内向的な嗜好を持っている。
こちらに来て間もないが、
感じる事と言えば別に日本だろうが、イギリスだろうが何処だろうがなんら変わりはないということだ。
住む場所、話す言語が変わっただけという印象である。
(恐らく僕の趣味思考に起因する。)
しかしその言語に苦戦を強いられたり、ウォシュレット無きトイレにもまた苦戦を強いられたりしている。
この歳になって一時的欲求が脅かさせれることもそう無い事であるし、
折角だから記録に残そうというのがこのブログの趣旨である。
退屈前提で過ごしていれば、楽しい事が多いような気がしている。
伊丹十三の言う退屈はまた違った意味合いだが、それは読んでもらえれば分かる。
”旅慣れて ニタリと笑う 俺の心のドン ジョヴァンニ”
伊丹十三著;ヨーロッパ退屈日記より