アルコール度数6%のエッセイ2

赤坂駅から歩いて3分くらい、

僕の家からだと歩いてオフライセンスにしか行けないくらいの距離にある赤坂カントリーハウスで、生ビールと少し焼いた温泉卵が乗ったカレーを頼む。

(いつだって物差しは自分自身なのだ)

30人も入れば満席になってしまうような小さい入れ物で、バンドが演奏をする。

カントリーハウスというくらいなので、カントリーが流れる訳なのだが、僕が知っている曲はウィリーネルソンのAlways in my mindくらいだった。

そこは確かに赤坂の雑居ビルで、バージニア州でも、テネシー州でもない。

日本人が夢見るアメリカ、あくまで縁もゆかりもない日本人が思う、または感じたアメリカの音楽な訳だが、あるいはそのアメリカ人も、生まれてもない故郷イギリスをひとつまみくらい夢見ていたのかなと少し思う。

僕のように田舎者が夢見る東京や、都会生まれの人が憧れる田舎のように、世界は夢を見ながら、実はありもしない憧れに満ちているのかもしれない。

いつか読んだ谷川俊太郎の詩が浮かんだりもした。

 


"どっかに行こうと私が言う


どこ行こうかとあなたが言う


ここもいいなと私が言う


ここでもいいねとあなたが言う


言ってるうちに日が暮れて


ここがどこかになっていく"


谷川俊太郎/ここ

 

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飲酒量:生ビール1杯とバーボンソーダ1杯とスコッチのロック1杯