初台と西新宿五丁目の真ん中あたりに部屋を借りている。
1年の間で僕は4ヶ月くらい知らない枕で寝る。
そのうち大体は東京で、あとはパリとかミラノとかの枕が4個くらいついているベッドである。
初台のマンションには乾燥機が付いてなくて、歩いて7分くらいのところにあるコインランドリーを回しに行かなくてはならない。
100円玉を4つ入れて、40分待つ。
することもないので、オペラシティでやっていた川内倫子の展示に寄ってみた。
ミクロとマクロ、生と死、絶対的な対比を彼女らしい(そこまでよく知らない)構成で展示されていた。
正直ほとんどがあまり響かなかったのだが、
1枚気になる写真があった。
夏の緑道を撮った写真だ。
恐らく(確信に近い意味合いで)夏である。
光の白度、強さ、むせ返るほどの緑が田舎の真夏日そのものだった。
そういえば長いこと日本で夏を過ごしてないことに気がつく。
気分が悪くなるくらいの暑さだったり、汗と湿気でベタつく肌だったり、僕のことが大好きな蚊だったり。
大して良い季節でもないくせに、それらを過ごしていない僕には、今過ごしているこの時間すらも架空のもののように感じた。
良いところ取りの都合の良いものに感じたわけである。
ランドリーに帰って洗濯物を取り出すとTシャツの縫い目のところがまだ少しだけ湿っていて、いつもよりシワが多かった。
"道なき道さえないような
ところに君は立っていた 散歩しようよ僕と
ここは東京 君の東京"
東京/MONO NO AWARE