"お茶しようぜ"
2017年から2018年にかけて、
おそらく最も発した言葉だ。
僕には沢山のティーフレンドがいる。
酒の場よりも、より慎重に、丁寧に、緻密に
きちんと発する言葉を選んで、
やり取りが出来る為、僕は人をよくお茶に誘う。
とりわけその中でも、
圧倒的登場回数を誇るティーフレンドが2人いる。
彼らは僕と同い年で、同じ業界に属しており、仕事仲間であり、良きライバルであり、それ以上に良き友である。
この日記を彼らの上司が見ている(と思う)為、変な事は書けないが(そもそも変な事なんてないのだが)、たまに同じエリアに営業に赴いていた際、情報交換も含めて、お茶をしていた。
代々木上原のサボウルが行きつけであった。
サボる場所がサボウル、、、
歳を重ねるにつれ、この手の親父ギャグを好むようになってしまった。
僕らの業界はかなり狭い業界であり、
かつ若手が殆どいない業界であって、
同い年が3人も集まる事などまず無い。
各々に営業スタイルも違えば、
好きな生地、もちろん女性の好みも合わない。
そして、おそらく自分が1番売れると3人ともが思っているはずだ。
少なくても僕はそう思っている、
彼等に負ける訳にはいかないのだ。
彼らとの出会いは確か、
2年前の冬であったか。
東京の兄と呼んで慕っている僕の先輩の会社に入ったのが、タロちゃんである。
後にプライベートでも共通の知り合いが
何人かいることが分かり、
すぐに仲良くなった。
彼は全てにおいてストライクゾーンが広い。
詳しく述べることは控えたいと思う。
そのタロちゃんに紹介して貰ったのが、
ミカワである。
渋谷の焼き鳥屋で初めて会った彼は、
人見知りで、打ち解けるのに半年くらい掛かった。
後に2人で何度もプリントの仕事を手掛けることになる。
3人の中で1番生地が好きで、
自費で産地を駆け回る様な変なやつだ。
約2年弱程、僕らは同じ業界で
時には協力して仕事をしたり、
時にはコンペジターとして戦ったりもした。
この3人がいれば、絶対的な売り上げを持つ洋服のことなんて全く興味のないおじさん達にも勝てる気がしていた。
狭い業界故、
少し噂になったりもしていた位だった。
そんな中で、
先陣を切って僕が抜けてしまい、
昔の教育番組にあったズッコケ三人組的な
僕らは呆気なく解散してしまった。
僕の壮行会では、
彼等は次の日も仕事であったのに(もちろん僕もであるが)、
朝まで付き合ってくれた。
あれ、これ言っていいんだっけ。
社会人になって、損得勘定、掛け値無しの
友人関係を築けるとは思っていなかった(元より僕は腹黒いので見定めてしまう傾向にある)為、僕は嬉しかった。
先々週末から、
ミカワがこちらに訪れて来てくれていた。
テキスタイルの展示会をメインに、資料館を回り、営業に同行してもらった。
仕事はさておき、
久しぶりに近況を教えあったり、
日本のアパレルはこうで、
生地がああだ、
それに比べて欧米はかくかくだ、などと
ひたすらに話し合った。
因みに今となっては何を話したか全く覚えていない。
それに加え、
ミカワには数年ぶりに恋人が出来ており、
ボランティア精神旺盛な彼は、
全く聞いてもいないのに
いろんな話を聞かせてくれた。
彼が寝てる間に何度か濡れたタオルを顔においてやろうかと考えた。
タロちゃんも来られたら良かったのに、と思う。
さぞかし酷い出張になっただろう。
また安い居酒屋で朝まで飲んで、
各々が納期や不良品で苦しんでいるのを横目に
売り上げの自慢をしたり、
巷の女子にも負けない量と質で、
恋愛話をしたいなと思う。
互いに手掛けた生地の洋服を
展示会で付け合ったりしたいなと思う。
飲みの場で女の子相手に
一斉に生地の話をし始めて
引かれたいなと思う。(いや、思わない、あれは酷かった。)
幡ヶ谷のパドラーズで、
代々木のトムズで、
渋谷のローステッドで、
上原のサボウルで、
時にはセブンの100円コーヒーで
またいつかお茶しようぜ。
“side by side どこまでも行こう
side by side 気が変わるまで
till no side 取り憑かれたもの同士で
俺は右折 お前は左折
さよなら 寂しくなるぜ side by side “
side by side/ペトロールズ