歌謡曲と白ワイン

"今週のベストテン第1位は、

中森明菜で『DESIRE』"


布施明の『君は薔薇より美しい』に並んで、

ベストテンの中で1番好きな回である。


しばしば、明菜か百恵かで意見が分かれる。

確かに山口百恵の引退ライブで歌う

さよならの向う側は涙を誘うものがあるが、

昭和を代表するアイドルは中森明菜であるというのが僕の意見だ。

あややが最後の真のアイドルであるという意見もたまに耳にするが明菜には到底及ばない。

古き良き日本の歌謡曲の根底にある"諦念"を引き継ぎながらもエッジの効いた振り付け、

当時としては前衛的な衣装。

プロモーションから、彼女の人間像まで、

最初で最後の、今後も越えられる事のないアイドルであると僕は思っている。


時折、友人と酒を飲むとき、

中森明菜の曲をかけては、

脱臼したチンパンジーの様なクオリティで

踊ることがある。

もちろん頭の中では、

自分は明菜だし、

天井からは金銀の紙吹雪が舞っているのだ。

大抵このモードに入ってしまうと、

終わりが見出せず朝方まで飲んでしまう。

まだ日本にいた頃は、

実家からこれでもかと

送られてくる日本酒をアテに踊っていたが、

こちらに来てからは滅法白ワインである。

今年の夏はブルゴーニュを周りたいと、

目下企んでいる。


やはり酒の種類によって、

酔い方というものは大きく変わってくる。

ウィスキーや赤ワインは落ち着いた酔い方で、日本酒、白ワインは勝手に頬の筋肉が上がってくるような陽気な酔い方になる。

テキーラ(良い物は違うらしいが)や、

シャンパン(良いも悪いも無い)は、

僕はかなり苦手で、悪酔いしてしまう。


酔い方が変われば、掛ける音楽も変わる。

ウィスキーや赤ワインは

ジョンコルトレーン

チェットベイカー辺りのジャズであるし、

日本酒や焼酎はやはりひばり姉さん、

アブサンやジン等では、

アースウィンドアンドファイヤや、

タワーオブパワーに始まるR&Bが良い。

テキーラシャンパンは正直なんでも良い。

適当にサンバか4つ打ちでも掛けておけばいいのだ。

白ワインは昭和アイドルとの相性が良いというのが僕の持論だ。


なんてったって小泉今日子ではないし、

センチメンタル伊代でも、

薬師丸と機関銃でもないのだ。

(これから生まれる令和生まれの子らからしたら、今話していることは2個も前の年号の話な訳である。こわ。まぢムリなんだけど。)


白ワインとで言えば、

ミ・アモーレ明菜に軍配があがるのだ。

"少女A"から"DESIER"で上がったかと思えば、

"難破船"で一気に沈む。

ここで弾みをつけて、

"飾りじゃ無いのよ、涙は"で、

しっかりめに踊るのだ。

恐らくこのまま書き連ねても、

伝わらないと思う。

飲む酒なんてどうだって良いだろうと、

思うと思うが、一度試してほしい。

中森明菜と白ワイン。


昭和続きで言えば、

もうかれこれ4年前くらいから、

マイッチング真知子を再び流行らそうと、

常日頃から事あることに口にしているのだが

これが全く流行らない。

納期遅れに、製品不良と八方塞がりで

召され掛けていた僕に、

当時僕のチームで一緒に働いていた後輩が気を使って、

会社の忘年会の幹事でも任されたかの様な気の進まぬ顔つきで、ボソッと

"まいっちんぐまちこ、、ですね、、"

と言ってくれたのが最初で最後であった。


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"過保護過ぎたようね 

優しさは気弱さの言い訳なのよ

発破かけたげる さあカタつけてよ

やわな生き方を変えられない限り

限界なんだわ 坊や 

イライラするわ"


十戒/中森明菜