英国退屈日記『話し方』


食べ方、書き方、話し方。

人の品性が露見する3要素だと僕は思っている。因みに1つも自信はない。

特に書き方なんてものは僕は下の下である。

習字を習わせてくれていた両親とその先生には申し訳が立たない。

原因は明らかで、持ち方が汚いのである。

何度も直すよう(この場合"治す"の方が適切であろうか、病みたいなものである。)に努めたのだが一向に改善される兆しはない。

特に今文字を書くとすると英語になる為、

字の汚さを咎められる事が無くなってしまい、現状に甘んじてしまっている。


ペンを正しく持てない者は決まって食べ方も美しくない。これは絶対解である。よって僕も美しくない。


自分の弱みの羅列の様になってしまったが、

本題は"話し方"についてだ。

僕はこの点についてはかなり神経を使う。

人は見た目が9割と言われる様に、

話も話し方が9割、中身は1割である。

犬も食わぬ様な自己啓発書の様な事を言うが、これは間違いない。


書き方の様に英語だから汚くても何も言われないなどと言う事は話し方には無く、

全世界の言語で話し方、要するに伝え方は

大切な要素である。


いくら球の速い投手でも

ストレートしか持ち玉が無ければ

いつかは打たれる。

本当に伝えたいこの1割を、

どう残りの9割を使って伝えるかが大切なのだ。


上流階級と言われる(よくもまあ自らの事を、何が上流だと僕は思うが)人々が使う言葉は明らかに他のそれらとは違い、

伝えたい事、聞き出したい事をなんの違和感も無く相手に伝え、聞き出す。

僕はかなりこの点については敏感な為、

相手が何を本当は聞き出したいのか、

何を伝えたいのか、

言い換えるならば僕になんと言って欲しいのかが会話の中から良くわかる。

知らないふりをして引っかかってあげてますよ、そんな具合だ。

人から冷めてるね、腹黒いねと言われる原因である。

からしてみれば、

それで"結構毛だらけ猫灰だらけ、お尻の周りはクソだらけである。"

僕のいたいけな名誉の為にも、

分からない人の為に念のため伝えておくが、

渥美清演じる寅さんの口上の一節である。


書き方も食べ方も汚い僕がクソなんて使った日にはそれこそ、色が黒くて貰い手なけりゃ、山のカラスは後家ばかり、である。

、、これも寅さんの口上なのだがもういい。


そんな僕でも分からないうちに

自分が知りたい事を

僕に自然と話させている人達がいて、

大抵は品の良い言葉、肯定的な言葉を

適切な間で話している、

所謂聞き上手な人達である。


僕の考えの1つであるが、

人は須く聞き上手であるべきだと思う。

聞き下手が行う自分よがりな話には、

興味を沸かなければ色気もない。

ドラム、ベース、ピアノのトリオで

セッションをするとして、

そのうちの1人がひたすらにソロを弾いていてはどうか。


各パートのソロを聴いて、

それらを踏まえつつ最後に締める"聞き上手"なソロに燻し銀を覚えるし、

格好が良いではないか。


話し方とは聞き方である。

どんなに反対の意見を発する者の話でも、

まずは肯定から入る。

建設的な会話に必要不可欠である。

誰とは言わないが、

日本にこれの達人が居て、

その人の話の入りには、

"正にそうで""仰る通りで"が必ず入る。

彼は僕よりも遥かに目上の人だが、

きちんと僕にもそれを行う。

"実るほど頭を垂れる稲穂かな"を地で行く人である。

現代、上に立つ人に求められる要素は、

求心力だけでは無く、共感力が必要になる。

自立した"個達"をチームに、

点と点を線にする為には、

話し方/聴き方の質を上げなければならない。


寅さんもきちんと人の話を聴ければなあ、

あんな無闇に女性に振られることも無かろうに。


もう寅さんの話はいいって?

たまには人の話を聞けって?



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"日を数えるごと  染み付くズルさを

開き直ってみたり  言い訳にしたり

ただ1人きりじゃ  やりきれないから

また今宵君を求めてしまう"


未完成/山崎まさよし